かかりつけ薬剤師の推進戦略。採用コスト150万円を利益に変える薬局経営

このコラムでわかること
本コラムでは、かかりつけ薬剤師の推進は単なる加算取得ではなく、高騰する薬剤師の採用コストを早期に回収し、薬局経営を安定させるための重要な財務戦略であることを解説しています。
そのうえで、かかりつけ薬剤師指導料の算定によって利益体質を強化し、処方元ドクターへの依存リスクを減らしていくことが、これからの薬局経営に不可欠であることをお伝えしています。
さらに、スタッフへの数字共有や算定体制の仕組み化を行うことで、継続的な利益拡大や薬局の資産価値向上につながることが理解いただけます。
- 1. はじめに
- 2. かかりつけ薬剤師を推進すべき「経営上のメリット」と数字のインパクト
- 2.1. 収益への直接的影響(シミュレーション)
- 3. 2. 現場での「推進」を成功させる3つの具体策
- 3.1. ① 「声掛け」のハードルを下げるソフト面の差別化
- 3.2. ② 算定要件(研修認定薬剤師など)の取得支援
- 3.3. ③ 24時間対応を「仕組み」で解決する
- 4. 3. 推進の最大の壁「スタッフのモチベーション」をどう変えるか?
- 5. 4. 【独自視点】かかりつけ薬剤師数は「M&Aの譲渡価格」に直結する
- 6. 5. 【結び】節税よりも増益。変化をチャンスに変える決断を
- 6.1. 調剤薬局業界に強い税理士をお探しの方へ
はじめに
「かかりつけ薬剤師を推進したいが、算定要件のハードルが高く、スタッフの理解も得られない。」
そんな悩みを抱える経営者は少なくありません。しかし、松原会計の視点では、かかりつけ薬剤師の推進は単なる「加算取り」ではなく、高額な薬剤師採用コスト(150万円〜)を回収し、門前依存のリスクを脱却するための、極めて合理的な財務戦略です。
本記事では、かかりつけ薬剤師を推進する具体的なメリットと、現場で実践できる同意取得のポイントを解説します。
かかりつけ薬剤師を推進すべき「経営上のメリット」と数字のインパクト

なぜ、国は「かかりつけ薬剤師」に高い点数をつけているのでしょうか。それは「門前(病院の前で待つだけ)」から「対人業務(地域密着)」へのシフトを求めているからです。
診療報酬改定により、従来の「一律76点」の指導料は廃止され服薬管理指導料へ統合されましたが、新たに「フォローアップ加算(50点)」や「訪問加算(230点)」などが新設され、実務重視の評価体系へシフトしました。
収益への直接的影響(シミュレーション)
これら新設された加算を確実に算定していくことで、処方箋1枚あたりの単価は大きく変わります。
| かかりつけ同意数(月間) | 1枚あたりの加算額 | 年間の増収見込み |
| 100枚 | 500円 | 約60万円 |
| 500枚 | 500円 | 約300万円 |
| 1,000枚 | 500円 | 約600万円 |
※1点=10円、新設された「フォローアップ加算(50点・3ヶ月に1回が上限)」で試算(訪問加算230点などが加わればさらに拡大)。
松原会計の視点: 年間数百万円の増収は、薬剤師一人の人件費、あるいは採用紹介料を数倍にして回収できる金額です。これを「手間がかかるから」と見送るのは、経営判断として大きな損失です。
2. 現場での「推進」を成功させる3つの具体策

薬剤師が「負担が増える」と拒否反応を示すのは、その先にある「経営の安定」と「自分の働きやすさ」が紐付いていないからです。
① 「声掛け」のハードルを下げるソフト面の差別化
「患者さんに笑顔で話ができるか」「子供に笑顔でバイバイできるか」というソフト面の意識が、かかりつけ推進の土壌になります。
- 手法: 「薬の説明をする人」から「あなたの健康を24時間守るパートナー」へのマインドセットの切り替え。具体的な同意取得のトークスクリプトを共有し、個人の営業力に頼らない体制を作ります。
② 算定要件(研修認定薬剤師など)の取得支援
「要件を満たす薬剤師がいない」のは、投資の優先順位の問題です。
- 財務戦略: e-ラーニング費用や認定取得費用の全額補助は、将来の数百万〜数千万円の利益を生むための「極めて安価な投資」です。
③ 24時間対応を「仕組み」で解決する
一人の薬剤師に電話を持たせ続けるのは限界があります。
- スケールメリットの活用: 複数店舗での当番制や、転送電話システムの活用により、スタッフの負担を分散させながら加算要件を維持する。これが経営者の腕の見せ所です。
3. 推進の最大の壁「スタッフのモチベーション」をどう変えるか?

松原会計では、スタッフを動かすために「マネジメントゲーム(経営シミュレーション)」の実施を推奨しています。
- 数字の可視化:
「加算が取れない=店舗の利益が出ない=新しい機材の導入も、有給の取りやすいシフト体制も作れない」という事実を、ゲームを通じて自分事として理解させます。 - 採用コストの回収という視点:
一人採用するのに150万円かかっている現実を店長クラスに共有し、それをいかに加算(価値)で回収するかという「攻めの経営」を共通言語にします。
4. 【独自視点】かかりつけ薬剤師数は「M&Aの譲渡価格」に直結する

あなたが将来、店舗の売却(EXIT)を考えたとき、買い手はどこを見るでしょうか。
「処方元ドクターの年齢」はリスクとして評価されますが、「かかりつけ薬剤師の数と、同意を得ている患者数」は、ドクターに依存しない「自立した事業価値」として高く評価されます。
- 資産価値の向上:
かかりつけ薬剤師を推進することは、日々の現金を増やすだけでなく、あなたの会社の「資産価値(株価)」を上げているのと同じです。
5. 【結び】節税よりも増益。変化をチャンスに変える決断を

「今回の改定は厳しい」と嘆くだけの薬局と、即座にかかりつけ推進の体制を整える薬局。この変化対応力の差が、5年後のキャッシュの差になります。
数百万円の節税に奔走するよりも、かかりつけ薬剤師を育成し、利益を倍にする。松原会計は、そんなポジティブな経営者のパートナーとして、数字の裏付けを持った戦略を共に構築します。
調剤薬局業界に強い税理士をお探しの方へ

調剤薬局業界は、診療報酬改定や資金繰り、人件費管理など特有の課題があります。
松原会計では、月次決算による数字の見える化を通じて、利益とキャッシュを残す経営をサポートしています。調剤薬局経営に関する詳しい内容はこちらをご覧ください。


