原会計式月次決算書を作った経緯

このコラムでわかること
経営者にとって、毎月の「月次決算書」は、会社の現状と利益の着地点を確認し、次の一手を決めるための重要な経営資料です。しかし、専門用語や数字が羅列された資料を前に、「今月は黒字だった」「前年より売上が上がった」という過去の答え合わせだけで終わってはいないでしょうか。本来、会計は「過去を振り返るため」ではなく、重要な決断を迫られる社長の「未来をつくるため」にあるべきものです。
「社長に伝わらない資料には、価値はない」。
そう強い課題意識を持ち、単なる過去の集計報告から、社長の未来を創る『未来会計』へとシフトするために開発されたのが「松原会計式月次決算書」です。
本コラムでは、多くの経営者が抱く「試算表を見ても次の打ち手が見えない」という違和感に向き合い、20年以上の現場経験から生まれた独自フォーマットの誕生秘話をご紹介します。顧問先との面談から生まれ、今や「経営会議のツール」として多くの経営者から信頼を寄せられる資料が、どのような試行錯誤を経て進化したのか。その軌跡と、根底にある「まずは安心、その次に挑戦」という私たちの想いを紐解きます。
なぜフォーマットを作る必要があったのか

私は2005年に松原会計を開業しました。開業当初は多くの会計事務所と同じように、税務申告や記帳代行、いわゆる「税務顧問」を中心としたオーソドックスな業務を行っていました。しかし、多くの中小企業の社長と接する中で、ある決定的な現実に気づいたのです。
それは、「社長が毎月試算表を見ていても、その数字を実際の経営判断に全く活かせていない」という現実でした。
試算表には、専門的な数字がびっしりと並んでいます。しかし、経営者が本当に知りたいのは過去の集計データではありません。
- 今期の利益は最終的にどこまで着地しそうなのか
- このままいって、本当にお金は残るのか、資金は足りるのか
- 次の投資や人財の採用はいつ、どのタイミングで行うべきなのか
こうした「社長が本当に知りたい未来のこと」は、従来の試算表だけでは決して見えてこないのです。 私は税理士として、単に過去の数字を集計して報告するだけの存在で終わりたくはありませんでした。社長の意思決定を、本当の意味で支援したい。そのためには「試算表を説明するための資料」ではなく、「社長が次の打ち手を決めるための経営判断資料」が絶対に必要なのだと確信しました。
その想いから生まれたのが、「松原会計式月次決算書」です。現在では20ページを超える充実した構成になっていますが、最初からこの形だったわけではありません。毎月、社長と泥臭く面談を繰り返し、「社長が本当に求めている情報は何か」を追求し続けた結果、少しずつ進化を遂げて今の形になりました。
現場で感じた“違和感”と課題意識

私が実務の中で最も強く感じていた違和感、それは「会計事務所が作る資料(税理士目線)」と「社長が求める情報(経営者目線)」の間に、深い溝があるということでした。
一般的な税理士は、過去の数字をそのまま説明します。 「今月は黒字でした」「前年比でこれだけ増えました」「利益率が良くなっています」 しかし、社長が本当に聞きたいのは数字の過去報告ではありません。「このままいったら、うちはどうなるのか?」という未来のシナリオです。
従来の試算表ベースの報告では、着地利益の予測も、先々の納税予測も、本当の資金繰りも見えてきません。さらに、社長は会計の専門家ではないにもかかわらず、多くの会計資料は「税理士にとって都合の良い形(税理士目線)」で作られています。「売上総利益」や「営業利益」「損益分岐点」といった言葉を並べられても、直感的に伝わらなければ何の意味もないのです。
「社長に伝わらない資料には、価値はない」
これが私の強い課題意識であり、独自のフォーマット開発へと突き動かした原動力です。 もう一つの大きな課題意識は、「過去を見るための会計」から「未来をつくるための会計(未来会計)」へ変えなければ、会社は絶対に良くならないという点でした。多くの月次資料は過去の「答え合わせ」で終わっています。会計の本質は、過去の反省ではなく、未来の選択肢を広げるためにあるはずです。この未来志向へのシフトこそが、私たちが最も大切にしているスタンスです。
試行錯誤と開発の背景

現在の松原会計式月次決算書は、机の上での思いつきで作られたものではありません。20年以上の実務経験の中で、100社以上の利益計画支援や、毎月の経営者面談を通じて、現場で改良を重ね続けてきた「現場の知恵の集積」です。
最初は、試算表に手書きのメモやコメントを付ける程度からのスタートでした。しかし、それでは社長の行動は変わりません。 次に、視覚的に直感で理解できるよう、推移表やグラフ、比較資料を導入しました。 さらに、「会社に利益が残る仕組みそのものを見える化したい」と考え、「固変分解(固定費と変動費の分解と再構築)」を徹底的に取り入れました。「売上がいくら増えたら、利益がどう変動するのか」が数式ではなくビジュアルで分かる仕組みを構築したのです。
私自身、2015年頃から「会計事務所経営支援塾」や「未来会計コンサルティング」を貪欲に学び、2016年には「戦略MG(マネジメントゲーム)インストラクター」の資格も取得しました。 世の中の中小企業の社長の多くは、現場の第一線で戦う「プレイングマネージャー」です。日々忙しく、ゆっくり数字を勉強する時間などありません。だからこそ、専門塾やコンサルティングで得た最高峰の知見を、社長が「一目で理解でき、すぐに次の行動に移せるフォーマット」へと落とし込むことに、徹底的にこだわり続けました。
松原会計式月次決算書の特徴と他との違い

最大の違いは、一般的な月次資料が「過去の数字の『報告』」であるのに対し、松原会計式は「次に何をするか、社長が『意思決定』をするための経営ダッシュボード」であるという点です。
具体的には、以下のような他にはない特徴を持っています。
- 決算の「着地予測」が常に見える
「今、いくら儲かっているか」ではなく、「このままいくと、決算時点でどう着地するのか」という未来の着地点を常に重視します。 - 「納税予測」の算出
「決算が明けてみたら、想定外の税金が発覚した」という悲劇をなくすため、毎月その時点でのリアルな納税予測額を算出します。 - 利益ではなく「資金繰り(お金)」にフォーカス
「利益は出ているのに、なぜかお金がない」という謎を解き明かすため、会社に実際に残るキャッシュの動きを完全に可視化します。 - 利益構造が見える「固変分解」の導入
固定費を「人件費」や「家賃」といった固定費の性質ごとに見やすく整理しているため、値上げの効果や、人材を採用した際の影響が瞬時に判断できます。 - グラフ中心の圧倒的な分かりやすさ
数字の羅列を排除し、視覚化を徹底。会計知識がなくても、自社の健康状態が直感的に把握できます。
松原会計では、資料を郵送して終わるようなことは絶対にしません。毎月の面談でこの資料を社長と一緒に囲み、次の戦略を練る。つまり、月次決算書は単なる書類ではなく、「社長が経営者に戻るための、最高峰の経営会議ツール」なのです。
利用者の声や他の税理士のコメント

松原会計式月次決算書を導入した顧問先、そして同業者である税理士の先生方からも、反響をいただいています。
【顧問先(経営者)からの声】
月次で分析資料をまとめて解説してくれる。数字の理解がクリアになり、社内メンバーとも目標や課題に取り組みやすくなりました
(イー・クリエイション株式会社 高田 尚宜 様)
以前依頼していた税理士事務所は、計算して書類作成をするのみで面談も数ヶ月に1回程度、必要最低限の定型業務を行う杓子定規な印象で物足りなさを感じていました。
松原先生は、月に一回は月次報告と解説をしてくださり、シンプルで分かりやすいベースとなる資料があることによって、数字の理解がクリアになりました。
丁寧に一つ一つクライアントのことを考えて、想像力をもって対応してくださることに感謝しています。
資料があることで社内の管理職メンバーとも共有しやすくなり、目標や課題に対して一緒に取り組みやすくなりました。
しっかりした冊子の報告書と的確なアドバイス。財務に関する知識が身につき、お金や税金について自分で考える『堅実な経営』へと変わりました
(UNI-cast株式会社 服部吉信 様)
以前ご依頼していた税理士はかなりいい加減な方で、資料も紙4枚だけの報告書であり、節税のためにと必要のない備品の購入や高額な保険を勧められていました。
松原先生はにこやかで真面目な方で、報告書をしっかりした冊子で出してくださいます。 お付き合いしていくことで、次第に私自身に財務に関する知識が付くようになり、それまで松原先生がしてくださっていたことがどれも重要なもので、凄くありがたいことだと気づくことができました。
コロナ禍で仕事が止まり困っていた時も、コロナ融資など色々と提案してくださり感謝しています。
様々な経験や学びから自分でもお金や税金について考えるようになり、堅実にいくことで何十年も続く会社になっていくのではないかと考えるようになりました。
毎月の月次決算で経営の改善点が自然と見え、事前に的確なアドバイスをいただける。日々は『人を喜ばせること』に集中できる環境に変わりました
(株式会社とんび 代表取締役 渡辺 様)
以前の税理士や社労士の方々は、こちらから相談しないと提案をしてくれないことが多く、物足りなさを感じていました。
松原先生は、こちらから聞く前に様々なことを丁寧にご提案くださり、単なる税理士という枠を超えて伴走者のような存在だと感じています。
毎月の月次決算でも、原価率や経常利益の適正な水準などを説明してもらえるので、経営の改善点が自然と見えるようになりました。
予想していなかったタイミングで「今のうちに融資を受けておくといいですよ」とアドバイスをいただくなど、常に先を見据えて助言してくださいます。
数字の見える化が進み、事前に的確にアドバイスをいただけるので、余裕を持ってお客さまやスタッフのことを考えられるようになりました。
月に一度、数字と向き合う時間があるからこそ、日々は「人を喜ばせること」に集中できる環境ができたことは大きな変化です。
【同業の税理士・会計関係者からのコメント】
松原会計式月次決算書づくりに込めた想い・理念

私がこの松原会計式月次決算書を通じて、そして松原会計という組織を通じて実現したい理念、それは「社長の『意思決定の質』を極限まで高める」ということです。
経営者は、本当に孤独です。最後の最後に会社をどちらに進めるか、その重い決断は社長自身が一人で行わなければなりません。だからこそ、暗闇を手探りで進むような「運頼みの経営」をさせるわけにはいかないのです。社長のブレない決断を支える強固な判断材料、それを提供することこそが、本来の会計の役割であると私は信じています。
そして、私が何より大切にしている哲学が、「まずは安心、その次に挑戦」という考え方です。
先行きが全く見えない不安な状態のままでは、どんなに優秀な経営者であっても、次の大胆な一歩を踏み出すことはできません。 利益の着地が見える。納税の未来が見える。手元に残るお金が見える。 この「圧倒的な見える化」があるからこそ、社長は心から「安心」することができます。そして、確固たる安心があるからこそ、経営者は次の人財採用や設備投資、新規事業という未来への「挑戦」に、自信を持って打って出ることができるのです。
会計の本当の役割は、単なる過去の集計や節税のテクニックではありません。社長の、そして会社の「未来をつくること」です。
私たちはこれからも、現場の社長たちの声に耳を傾け、この松原会計式月次決算書を進化させ続けます。すべてのリーダーが、最高の意思決定を下し、素晴らしい未来を切り拓いていけるように、私たちは月次決算という最強の武器を持って伴走し続けます。
月次決算によって「利益が出てもお金が残らない原因」が明確になります

会社経営では、売上や利益が伸びていても、資金繰りに不安を抱えるケースは少なくありません。松原会計では、毎月の月次決算を通じて、利益とキャッシュフローの動きをわかりやすく整理し、「なぜお金が残らないのか」を明確にします。
税務申告のためだけではなく、会社にお金を残し、将来を見据えた経営判断ができるようサポートしていることが特徴です。毎月数字を確認することで、問題点への早期対応や、利益計画・資金繰り改善にもつながります。
松原会計が大切にしている「月次決算へのこだわり」については、こちらのコラムで詳しくご紹介しています。








